こわれもの
あとがき
私達の周りには、はかなくて壊れやすい物ばかり。
目に見える物質だけではなく、人の心や人間関係もそれに当たると思うのです。
ほんの少しの誤解が原因で長年分かり合えなかったり、相手のために良かれと思って発した言葉を悪く受けとめられ、関係が悪化してしまったり。
周囲の人と前向きな関係を築くのは楽しい。
一方で、不本意ないざこざが起きたり、何らかの理由で親しい人と別離しなくてはならない時には、ひどい痛みを伴います。
その人間関係にかけた想いが強くなればなるほど、失った時の絶望感は大きくなります。
大切な人に素直な気持ちを伝えられなかったり、不器用な振る舞いで傷つけてしまったり。
心から相手を好きだと思っていても、そこには臆病な自分や、打算的な思考が働いてしまったり。
今回の作品では、登場人物達ひとりひとりを通して、そういった人の様々な想いを表現するのを目標に、創作しました。