こわれもの

いつも通り、タバコと乳製品飲料を買ったヒロトは、どこか落ち着きのないアスカに言った。

「次の日曜休みになったんだけど、アスカ、予定空いてる?」

「ううん、特に何も……」

「じゃあさ、昼から遊ぼ。

迎えに行くし!」

「うん、わかった!」

本人がいないとあれこれ考えてしまうのに、ヒロトを前にするとアスカは恋心につき動かされる自分を止められなかった。

“やったぁ! ヒロトさんと昼から遊べる~!

じゃなくて、ヒロトさんに彼女がいるかどうか、確かめないと……!”

今なら自然な流れで訊(き)ける。

「でも、私なんかと遊んでたら、彼女さんに怒られるんじゃない?」

ヒロトは目を丸くした後、クククッと肩を震わせた。

「んな心配してたの?

もしかして、昨日の帰り元気なかったのもそのせい?」

「だって、後から彼女さんに文句言われてトラブるとか、嫌だもん」

アスカは取って付けた様なセリフを返す。

「彼女いたら、アスカと飯行ったりしないって。

日曜、どこ行きたいか考えとけよ」

購入したばかりのタバコを制服の胸ポケットに突っ込むと、ヒロトはコンビニを後にした。

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