初恋 ~幼馴染みへの恋~

『ままー!』

俺が幼稚園に迎えに来た母さんに走って近づいた


『流樹、いい子にしてた?』

母さんが俺のあたまを撫でる


『うん!』


『じゃあ帰ろっか。』


『うん。』


『悠ちゃんは?ママ達まだなの?』


母さんが部屋の端で座ってる悠に言った


『まだ…』


そう言う悠の表情は今にも泣き出しそうやった。


『一緒に帰る?』


『いい。』


母さんの誘いを悠は俺に遠慮して断った

悠にとって家族と一緒にいれる時間は1週間に一回、あるかどうかぐらいやった。


せやからこそ、悠は俺と家族との時間に入ってこようとしなかった。


『でも、閉園まであと10分しかないよ?』


『来なかったら一人で帰る。』


悠はよく、幼稚園から一人で帰ってた。

そんな姿を周りの人達は哀れみの目で見た。


だから母さんは悠の事を余計、自分の子のように接したんやろう。


今思えば悠は俺と、俺の家族ぐらいにしかなつかへんかったなぁ…




< 77 / 128 >

この作品をシェア

pagetop