大切なもの
 


「あっち行っておデブにでもなってるかと思えば!!なぁんにも変わらないわね!もっと格好良くなったんじゃないの!?」


最初の頃はもちろん、少し体重に変化はあったけど。皐月と付き合い出して一緒に住むようになってからは皐月がほとんど食事の管理してくれてたから。今思うと本当に感謝してる。


「あー…お陰様で。みんな、ただいま」


そう言うとそこにいる全員がおかえりと返してくれて、俺に向かってクラッカーをお見舞いしてくれた。

そして一番最後に、綾香が俺の目の前に来てから、


「空也、おかえり!」


満面の笑顔でそう言ったかと思えば、俺の顔に向かってクラッカーを放ちやがった。


「…ぶっ、臭ぇバカお前っ。綾香!」

「あはは、嬉しいでしょ~?」


――本当に、変わってない。あの留学を告げた日の綾香の泣きじゃくってた姿は無かったみたいに綾香はバカみたいに明るい。


「…空也」


その声に後ろを振り向けば、少し恥ずかしそうにした皐月が立ってた。


「皐月、こっち来いよ」


そう言ってから皐月の肩を抱くと皐月をみんなの前に出してから、


「……例のカノジョ」


そう言ったのと同時に、みんなが驚きの声を出した。


そして何故だか慌てた皐月が、


「あ、あのっ皐月って言います!空也とお付き合いさせて貰ってます、皐月です…」

「ぎゃはは!可愛いわぁ!空也から聞いてたわよ~、本当に可愛い彼女さんね!」

「僕は空也の父でこっちは母です。空也がお世話になったね」

親父がそう言うと、皐月は少し緊張がほぐれたように笑顔を見せた。




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