大切なもの
…それから一時間後、今度は日本酒に手を出してる馬鹿に近付く。
「…おい、綾香部屋戻れ」
「…なんで?あたし、酔っぱらって、ないし」
敢えて酔っぱらってないアピールをしてるのか、一言一言をゆっくり喋ってる。
「顔真っ赤。部屋連れてってやるから立てよ」
「んー…さっきあっち行けっつたじゃん」
「あー、へいへい。あの時止めときゃ良かったよ」
本当に後悔した事を口にすると、何故だか睨まれた。
周りの大人はほぼみんな酔っぱらってるし、さっき親父に「お兄さんだろ、部屋連れてってやれ」とか言われたし。
強制連行するしかない。
そう思うが早いか、俺は綾香の腕を取ると、二階にある綾香の部屋へと足を進めた。