大切なもの
 


自分で歩こうとしない綾香をベッドまで誘導するのはなかなかの時間が掛かった。


ベッドの上に着くなり綾香は、


「う、わぁー。これ絶対吐く。気持ち悪…」

「調子乗りすぎだっての」


横になってた綾香のおでこを小突く。


「吐きそう、空也おかえり~」

少し掠れた声でそう言う。
…何回同じ事言うんだコイツ。


「…大丈夫かよ」

「んー…ありがと」

「じゃ俺戻るぞ」


そう言うと、ベッドから離れようとした俺に


「…やだ、吐く」

「…はぁ…?」

「絶対吐く」

「んじゃビニール持ってくる」
「………」


そう言って部屋を出ようとすると




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