大切なもの
 



そう言いたいのを堪えて、眠いんだろうなと思ってその時は放っておいた。



――けど。


久しぶりに話をしようと俺が二つコーヒーを用意して、綾香の斜め向かいのソファーに腰掛けて「はい」とコーヒーを差し出すと、



「あたし、眠い」



そう言ってから綾香はうつ伏せになって枕に顔を埋めて寝転がった。



「……は?」



そう言っても、綾香は反応しない。




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