大切なもの
「何だよ。コーヒー一杯ぐらい付き合え。眠るのはいつでも出来るだろ」
「…疲れたの。今寝なきゃ死んじゃう」
「バカ、死なねぇよ」
「後で正人来るはずだから今寝る」
そう言った綾香に思わず苦笑いが出た。
「……正人とヨリ戻したのか?」
出来るだけ明るい声でそう聞けば、
「……怒鳴られた。正人怒って出て行ったから。一服してからまた来るって言ってた……」
その言葉だけで、綾香が今どんな顔をしてるか容易に想像出来た。