大切なもの




「……あたし、正人散々傷付けたのに……」



それは今にも泣き声が聞こえてきそうな苦しそうな声だった。

その声に、また胸が苦しいくらいに胸が締め付けられた。



――皐月、ごめんな。
こんなバカでクソみたいな旦那持つ事になるんだぞ。


心の中で、皐月に謝った。



違う、何もかも違う。
雰囲気なんかは似てても――違う。違うんだ。



皐月と綾香じゃ、“愛してる”の次元そのものが違うんだ。




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