大切なもの
遅刻という声に飛び起きた俺は一度周りを見渡す。
「…なんだ、夢か…」
そう呟いてから、皐月の顔をもう一度見てみる。
「…何?夢でも見てた?」
「いや…ありがとな」
「うん?」
そう言って皐月は不思議そうな顔をするけど、すぐにリビングの方へ行ってた。
――皐月は、アメリカに留学してきてから出来た日本人の俺の恋人。
同い年で、同じ時期に留学してきた俺達は良く遊ぶようになって、次第に惹かれ――たのかもしれない。
…皐月の明るくて純真な所は綾香とそっくりだった。