翡翠幻想
足だけではない。
金縛りにでもあったように、全身が痺れていた。
「返すもんか。あ、あれを売って、姐姐の薬を買うんだっ。あんたたちは、きれいなもの、いっぱい持ってるんだろ。なら良いじゃないか!……ぼくには、姐姐しかないんだからっ」
唯一自由な口で、捲くし立てる。
目の前の男に対して、もちろん恐怖心があったが、そんなものに構ってはられなかった。
「……おまえの姉は、病気なのか」
ふと、男が尋ねた。
その声は、存外に柔らかい。
「そ、そうだよ……もうずっと、ぐあいが悪いんだ。それなのに無理するから……」
とうとう、桂桂は泣き出していた。
こうしている間も、姉がひとり布団の中で苦しんでいるかと思うと、かなしくてさみしくて、しょうがない。
「そうか」
すとん、と桂桂は地面に尻餅をついていた。
金縛りが解けたのだ。
「どれ、私がお前の姉を見てあげよう。姉の体が良くなれば、翡翠を返してくれるだろう」
金縛りにでもあったように、全身が痺れていた。
「返すもんか。あ、あれを売って、姐姐の薬を買うんだっ。あんたたちは、きれいなもの、いっぱい持ってるんだろ。なら良いじゃないか!……ぼくには、姐姐しかないんだからっ」
唯一自由な口で、捲くし立てる。
目の前の男に対して、もちろん恐怖心があったが、そんなものに構ってはられなかった。
「……おまえの姉は、病気なのか」
ふと、男が尋ねた。
その声は、存外に柔らかい。
「そ、そうだよ……もうずっと、ぐあいが悪いんだ。それなのに無理するから……」
とうとう、桂桂は泣き出していた。
こうしている間も、姉がひとり布団の中で苦しんでいるかと思うと、かなしくてさみしくて、しょうがない。
「そうか」
すとん、と桂桂は地面に尻餅をついていた。
金縛りが解けたのだ。
「どれ、私がお前の姉を見てあげよう。姉の体が良くなれば、翡翠を返してくれるだろう」