愛しい背中【密フェチ】
――いい背中。
薄いポロシャツは、彼の筋肉質な背中にピッタリと張りつき、肩甲骨がふっくらと浮かびあがっていた。私にとっては最高に扇情的なライン。
――抱きつきたくてたまらない。
引き締まった腰に腕を回して、その広い背中に頬擦りできたら幸せだろう。
友達という関係が壊れることを恐れず、私も好きだと言えたらいいのに。
胸の底から迫り上がってくる想いと欲求を、私は唇を噛みしめて抑え込んだ。
「それより、隣に来ねぇの? 話しにくいよ」
歩道は二人並んでも、対向する人が余裕で通れるほど広い。
なのに、いつまで経っても後ろを歩き続ける私に、痺れを切らした彼が振り返った。
「……うん」
視線を彼の背中から顔に移すと、瞳の奥まで視線が絡み合い、身体の熱が増した。
隣に並んだら、その体温から密かな想いが伝わりそうな気がする。
「私が前、歩こうかな」
「なんでだよ、駄目だって」
何故か焦ったように声を荒げる彼。私はその声を無視し、面白がるように一歩前に出た。