友の姿、午後6時【短編】

偉そうな事を云っている立場の俺も一目惚れはおろか恋愛経験も殆ど皆無だけど、宮野が恋した相手を落とすのはどれだけ難しいのかは判る。


逢いに行かない限り一切関わりの無い人間に、


常連になって会話を自然に繰り返さないと仲良くなれない人間に、


仲良くなれても店員と客の立場ではその先に発展するか判らない人間に、


何でこいつも惚れたのかね。




『だから俺は決めたぜ』

「あ?なにを?」




同じ中学校や、他の中学校の生徒なら発展出来る確率も高いだろうにな。


そう思っていた俺の耳に届くのは、さっきの真剣さを含んだ声色じゃなくて何時もの調子のトーンだった。
< 11 / 15 >

この作品をシェア

pagetop