友の姿、午後6時【短編】
『今まで行きたい高校無かったし、俺の頭で行けそうなとこ適当に決めようと思ってたけどさ……今日入りたい高校決まったから勉強するって決めた!』
「はあ?…それどこの高校だよ?」
『お前と一緒のとこ!***高校!』
「無理だな」
言葉を被せるように、俺は即答する。
『なんで!?』
絶対そう返って来るとは予想していた。
いや、何でって俺が答えを返さなくても宮野自身も判ってる事だろ。
第一高校と好きな人の話、全然違くね?なんでこんな脱線してんの?
「偏差値は特別高くねえ高校だけど、お前の頭じゃ絶対無理だわ」
塾も行ってるし元々勉強が苦痛には感じない俺は成績は悪くないけど、頭がかなり良いわけじゃない。普通だ。
***高校は普通校とはいっても、そこそこのレベルがある場所だ。
でも塾も行っておらず、おまけに勉強の"べ"の字を聞くと逃げ出そうとするくらい勉強嫌いの宮野には合格は無理だろう。
内心気になる様々な部分に突っ込みつつも、嘘を吐いても仕方が無い事だから溜息混じりに正論を伝えたら、電話の向こうの宮野の鼻息が荒くなった。
『判ってるっつの!だから勉強して頑張るんだってば!』
「今までへらへらしてたのに?今更?」
『うるせ!とりあえず俺はお前と一緒の塾に行くから!な!』
「……………はぁ」
―――以上が、半年くらい前の話。