友の姿、午後6時【短編】

いま、電話の向こうに居る男は、何と云った?


電話を出た瞬間、耳に届いた言葉を理解するのに少しだけ時間が掛かった。


今日はエイプリルフールじゃないはずだよな。


ああ、絶対に違う。


一応壁に掛かっているカレンダーを横目に見遣り確認するけどやっぱり違った。


なら宮野は何でいきなりそんな事を云い出したんだ……?


呆れる程のバカさと明るさを持った奴だが、そんな悪ふざけを云う人間じゃないのは長い付き合いだから知っている。


もしかして誰かに罰ゲームで云わされてんのか?


いやでもそれは無いよな、判り易い性格してるし嘘だったら直ぐに見抜けているだ。俺はそんなにバカじゃない。


……じゃあ、なんで?
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