友の姿、午後6時【短編】
混乱している俺をよそに、宮野は言葉を続ける。
『や……好きかも、じゃないな』
「いや、ちょ、宮野、なに?えっ?」
『好きだ』
「俺が!?」
『うん………って、え、は!?んなわけないだろ!怖いこと云うなよ!』
「俺の方が怖かったわ!!」
だったら主語をつけて云えよ!
自分の事はバカじゃないとか思いながらも、電話してるのに独り言をぶつぶつと呟き続ける宮野の所為であらぬ誤解をする所だった。
危ねえ、まじで変な扉開く寸前だったぞおい。
額に滲んだ妙な汗を手の甲で拭いつつも、誤解だった事に心底安堵した。
別に男同士を差別してるわけじゃない。
そういう恋愛も世の中にはあるわけだし、当人達が幸せならそれで良いと思うが、俺にはその気は一切皆無だから傍観する立場で居たい。
そして、例えどんな事情があっても宮野が相手は死んでもない。
世の中に俺と宮野しか存在してなくても、絶対にお断りだ。