友の姿、午後6時【短編】
深い溜息を一つ零すと、耳元で不満げな様子の声音が聞こえる。
『だーかーらー、ファーストフード店のお姉さん』
「はあ?」
何で"お姉さん"というだけでファーストフード判らないんだ、と云いたそうな声色だ。
判って欲しけりゃ、最初からファーストフードのお姉さんだと云えよ。
そう突っ込みたくて口を開いたが、俺が言葉を発する前に宮野が喋る方が早かった。
『今日ポテト買いに行ったんだけどさ、俺だけに向けてくれた笑顔にノックアウトされました』
「……いやそれお前だけにじゃねえだろ、それが仕事だからじゃね」
『ちがう!俺だけに向けてくれたの!あの人はそんな軽い女じゃない!!』
「お前、その人の何知ってんの?」
『何も知らん!!!』
「…………」
駄目だこいつ。