lover
「ん」
「あ、純起きたの?」
「……茉咲?!お前大丈夫か?」
「うん、大丈夫。ありがと、純」
目を開けるとそこにはエプロン姿の茉咲がいた。
「良い夢見たでしょ。萌ちゃんが出てくる」
「え……」
「寝言、言ってた。『萌子』って」
そうだ……あの夢。
萌子と付き合って初めてのデートの時の……
「純は萌ちゃんが大好きだね。茉咲も好きだよ。優しくて可愛くて」
俺は、萌子の事が大好き……そうだ、俺は……萌子を傷つけた。
今更その事を後悔してる、胸が苦しいほど痛む。
如何して、あんな事を言ってしまったのだろう。
俺も、萌子に会えて嬉しかったはずなのに―――。
『カンケーねーだろ。バーカ』
あんな言葉が、大好きな萌子に向ける最後の言葉になってはいけない。