lover




あの女の言った言葉が思い浮かぶ。

『きっと、萌子さんは柳瀬君の事が“大好き”だから、嫌われてると思っている方が悲しいと思います。』




何が、『また苦しめるかもしれない』だよ。
―――苦しめていたのは、俺なのに。



「純」

「あ、ごめん。ボーっとしてた」

「ごはん作ったけど、食べる?」

「俺、お粥作ったんだけど……」



そう言うと、茉咲はププッと笑った。



「何だよ」

「クソマズかった。でも、ありがとう」



味見しなかったのが悪かったかな……。



「俺が残りの食べるよ」

「いや、全部食べたよ」

「はあ?!」



茉咲は、優しい……。



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