lover




「……いや、出来れば2人で…」

「え、あの…私はいいんですが……柳瀬君は…」

「お前、本好きなんだろ?面白い本選んでくれねえか?」



柳瀬君、お世辞でも本が好きそうとは言えないけど……。
まあ、少しでも本に興味を持って下さったのなら嬉しいです。



「私でよければご一緒します」

「ああ、頼んだぜ」



ちょっと、楽しみだなあ……なんて、萌子さんには死んでも言えないや。



「柳瀬君、今日もバイトですか?」

「ああ。気ィ付けて学校行けよ」

「はい、では」



学校への最寄り駅に着いた私は、柳瀬君との別れを告げ電車を降りた。



早く、早く学校終わらないかな……。
萌子さんや萌斗君と出会って、初めてこんな事を思った。



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