lover




いつも通り、誰もいない教室の自分の席に座って、スクールバックから本を取り出し、その本を少しの間見つめていた。



そうだ、この本しかないんだった……。



萌子さんに、この前貸した本、借りても大丈夫かな?



後で、謝れば良いよね?
もう一度読みたかったから勝手に取っちゃいました。って。



謝る練習までした後、萌子さんの席の前の立ち、ごめんなさいと言って萌子さんの机に手を入れた。



すると、くしゃくしゃに丸まった紙が大量に机の中から出て来た。



駄目だとは判ってはいながらも、気になってその紙を広げると……。



『純遊と別れろ』

『荻原瑠璃を使って、純遊と付き合った。荻原瑠璃はお前の召使?』

『荻原さんを使った。サイテー。あんな、ダサイ子と一緒に居たのは、純遊と付き合うための手立てだったんだ』



使った?
私、萌子さんに使われた覚えなんてないよ?

そのほかにも『死ね』とか『消えろ』とか、明らかに女の子の字で酷い事が書いてあった。



「瑠璃……?」



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