天の神様の言う通り、ここは素晴らしい学園ですっ





騒ぎ出す魚達を乙は制して、重たい腰を緩慢な動作であげた。再び騒ぎ出す家臣達を眼光で鎮圧させ、乙は紅塗りの手すりに指先を滑らせながら階段を降りる。魚尾を囲んでいた家臣達は深く頭を下げると後ろへと後退った。


「良かろう。下界とやらに赴こうではないか。これは、わらわの意思じゃ。文句を垂れる奴は首を跳ねる」

紅塗りの唇が艶のある音を鳴らす。それは波紋を押し止め、深い静寂を呼んだ。乙は歩みを止めることなく、魚尾の眼前で仁王立つ。


「魚尾、貴様の思惑は計りかねるが。よし、連れて行け」

彼は優しく笑うと、乙の頭に手を置いた。思惑なんて無いよという優言葉を吐かんばかりの優しい目。馬鹿にしてるのかと牙を剥けば、困った様に眉を寄せる。

(きっかけになればいい)

魚尾の想いは、彼女には未だ伝わらない。



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