天の神様の言う通り、ここは素晴らしい学園ですっ
(にしても、じゃ)
暇すぎる。乙はフローリングの床に寝転がりながら、欠伸を零した。現在魚尾は高校に通っている。毎日早朝に登校し、夜遅くに下校する。その空白の時間、彼女は独りぼっち。何と詰まらない。そして結局、空白の時間の反動で、魚尾に酷く当たってしまうのだ。
この前なんて彼は死にかけた。後悔するのは明白なのに。抑制の利かない衝動が、皮膚の下を蛆虫の如く這いずるのだ。どうすればいいだろうか。彼に危害を加えない方法は、無いのだろうか。ふ、と。乙の頭の中で誰かの声が囀った。
「会いにいけば良いじゃない」
気付いた途端に、乙は靴を履いていた。魚尾が履き潰した緑色のスニーカー。少しばかりぶかぶかのそれにシンデレラの様に足に嵌めて、玄関の扉を開けて駆け出した。