天の神様の言う通り、ここは素晴らしい学園ですっ
「知らぬ。とにかく、わらわの願いを聞くのじゃ」
「まったく、今の乙姫は我が儘で困る」
で、お願いとは。亀が首を傾げれば、乙は画策に輝く瞳を彼に向けた。彼女の話によると、天神学園の教師二人の結婚ということで、結婚式を内密の内に決行しようという計画を皆が企てているのだとか。そこで、竜宮城当主として一肌脱ごうという訳だ。
「構わないが、料理はどうやって運ぶ」
「魚達を人間に変えれば良い。大名行列のように行けば権力を示すにも良い機会じゃ」
「大名行列はやりすぎです」
「ふむ。まあ、適当な数を連れて行くぞ。後は結婚祝いの品じゃが。何が良いものか。金銀財宝かのう。それとも玉手箱か。」
彼は乙を見ながら、微笑む。人間達の世界に連れて行かせたのは、どうやら正解であったらしい。いや、正解だったのだろうか。そうであってほしいとは、願っているが。
「その二人が、一番喜ぶ物はどうですか」
「一番、か」乙は脳内にある文字を探して、視線を動かす。そして、思い付いたのだろう、掌を叩くと満面の笑みでこう言った。