天の神様の言う通り、ここは素晴らしい学園ですっ




「あれはどうじゃ!ひもびきに!」

「ひも、びき?」賢者にも知らぬことはあったようである。乙は得意気に、自分の間違った知識をひけらかす。

「世の男共が死に物狂いで掴み取ろうとする財宝らしいぞ。常日頃からひもびきにのことを考え、ひもびきにを愛し、ひもびきにの為に生きているのだとか」

正しくは、ヒモビキニを着用するピチピチ女子が目当てなのですが。

さあ、ここで想像してみよう。普段はチャイナ服の龍娘が、堅苦しい民族衣装を脱ぎ捨て、ヒモビキニを着ている姿を。場面は夏だ。入道雲が抜けそうな青空に浮かんでいる。爛々と輝く太陽に照らされながら、白い肌の彼女が此方に背を向けて海へ駆けて行く。焼けるような砂浜の上を歩き、貴方はその後を追い掛ける。海辺に着く頃には、彼女は海の中だ。火照った躯を冷やすように、海水で遊ぶ彼女。龍娘、と声を掛ければ、なあに、と彼女は振り向く。柔らかそうな胸を白色のビキニが隠している。黒髪が風に吹かれ、靡く。可愛いよ、と言えば、目を丸くする。そうして、照れたように微笑んで、水を此方に掛けるのだ。水飛沫がきらきらと輝く中、濡れ鼠になった貴方を見て、龍娘は悪戯に笑うのである。ばあか、と。

あれ、なにこの楽園。


「ようし!楽しみじゃな!」

るんるん、と去っていく乙の背中を見つめながら、本当に人間界へ行かせて良かったものだろうか、と 頭を抱える亀であった。


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