天の神様の言う通り、ここは素晴らしい学園ですっ
愛はラピスラズリのように美しい瞳も好きだが、実は項も好きだった。変態のようだから、口にはしないが。ちょっとだけ噛んでみたいなあ、とも思う。これも、変態のようだから言えないが。
と、突然、アルベルトが振り向いた。愛は大袈裟な程に肩をふるわせる。邪な思考がバレてやいないか、と少し怯えるが、よくよく考えるとそのようなことは万が一にも有り得ない。
安堵の息を吐く愛に、アルベルトは歩み寄る。片手に桜餅を2つ持って、愛の横に座った。桜餅の一つを彼女に手渡す。濃い桃色の餅を包む緑色の葉。口に含めば、甘すぎる餅の味と、葉の塩気が調度良く舌の上で混ざり合う。
「お、おいしいです」
「そうだねえ」
春風が吹き抜ける。愛は足をもじもじと動かす。実は今日、彼女は結っていたゴムを解いて、背中へ髪を流していた。黒髪が風に揺れる。前髪は髪留めをしていた。蝶々の形をした飾りのついた髪留めだ。
しかし、アルベルトが無反応なところを見ると失敗だったのかもしれない。少しでもアルベルトに見合う女になりたいのに、いつも空回りだ。