釘バットと秘密のラブコール
「蜜ちゃんにはいつもお世話になってるからね」
「あたしは何にもしてねーけどな!」
このおじさんが味方?
どうして?
「あたしとおっちゃんはダチだからな!おっちゃんが口利きしてくれるってよ」
「体育館のドアは前から建付けが悪かったし、言い訳ぐらいどうとでもなるさ」
さすが用務員、職権はそうやって濫用するのか…。
ちゃかちゃかと走り去っていく蜜を追おうとすると、すれ違いざまにおじさんがにっこり笑いかけてくる。
「この頃、飼育小屋のウサギが野犬に襲われる回数が増えていてね」
「はぁ…?」
さすがに無視するわけにもいかなくて、俺は歩くペースを落としながらおじさんの話に耳を傾ける。