釘バットと秘密のラブコール
「僕も困っていたんだよ。だけど蜜ちゃんが、わざわざあの釘バットで野犬を追い払ってくれたんだ」
「アイツが…?」
そんな善行をするような奴には、思えないけど。
「西城くん、人を見かけだけで判断しちゃいけない。本当はとても心優しい子だよ。現に今日も君を助けてくれただろう」
「それは、そう、ですけど…」
助けたというよりは目立ちたかっただけのような気もするけど。
だけどあれはアイツなりのヘルプのつもりだったんだろう。
ぺこりとお辞儀をすると、おじさんも会釈を返してごみ袋を引きずりながら去って行った。
…あぁもう、どうするかなぁ。