釘バットと秘密のラブコール
そのまま教室に入っていくのかと思いきや、彼女は華麗に教室をスルーして進んでいった。
入らねぇのかよ!?
まぁ、今入ったとしても授業なんてろくに聞けないと思うけど…。
それにしてもこっちって、さっきおじさんと話してたウサギ小屋の方じゃないか?
「…よっし」
蜜がザシャァッと音を立てて釘バットを地面に突き立て、真正面から俺を見つめる。
意外と目が綺麗だな、なんてこんな時に気付いてしまう。
「要」
「…っなん、だよ」
一瞬、ほんの一瞬、一秒にも満たない瞬間だけ。
カ ワ イ イ と思ったなんて、誰が言うか。