釘バットと秘密のラブコール


そのまま教室に入っていくのかと思いきや、彼女は華麗に教室をスルーして進んでいった。

入らねぇのかよ!?

まぁ、今入ったとしても授業なんてろくに聞けないと思うけど…。


それにしてもこっちって、さっきおじさんと話してたウサギ小屋の方じゃないか?


「…よっし」

蜜がザシャァッと音を立てて釘バットを地面に突き立て、真正面から俺を見つめる。

意外と目が綺麗だな、なんてこんな時に気付いてしまう。

「要」

「…っなん、だよ」

一瞬、ほんの一瞬、一秒にも満たない瞬間だけ。






カ ワ イ イ と思ったなんて、誰が言うか。


< 19 / 24 >

この作品をシェア

pagetop