秘密の教室
高校の入学式で一目惚れした。
で、何も無いまますでに卒業間近な今。
今年初めて同じクラスになっても声をかける事なんて出来ず、ましてやこんな教室に二人きりなんて偶然すら一度も無かった。
机の中に用事があるふりをして、ガサガサと荷物を出し入れしながら窓際の彼の姿を盗み見る。
チャンス?
今を逃したらもうこんな機会ないかもしれない。
怒られるよ?
でも、どうせもう卒業だよ。
胸の中で葛藤する天使と悪魔……そして内気な私には珍しく悪魔が勝利した。
初めて彼を知った時から綺麗だって、密かに恋焦がれたものがほんの数メートル先。すぐ目の前にあるのだ。