運命の人~あなたがいたから~
再会
ライブも終わり ファンの人たちが ぞくぞくと会場を出て行く

「さゆり綺麗だったねぇ」「水のパフォーマンス凄かったぁ」

それぞれライブの感想を言いながら 列に並んでいる

(なんか 集中出来なかったな)

開演前の兄の一言が気になって ライブを楽しむどころじゃなかった

(この中にリュウヤさんが) (リュウヤさんどこかな?)

そんな事ばかり考えていた

「ナオどうだった?」

「えっ あぁ すごかったね」

「フフッ」

「なに?」

「集中してなかったくせに」

「そんな事ないし!」 

(うわぁ さすがお兄ちゃん 完全に見破られてる)

「じゃっ行くぞ」

「ちょっとドコに行くの?帰り道違うよ」

「ドコって 楽屋」

「えぇ!!ちょっと待ってよ」

「いいから いいから」

そう言うと 兄は私の腕を引っ張りながら 裏口に向かった

知り合いの関係者に挨拶して ダンサーの控え室に案内された

「ちょっと お兄ちゃん 私まだ心の準備が」

「大丈夫だよ 普通にすれば 言いたい事あるんだろ?」

(お兄ちゃん 6年前言った事覚えてたんだ)

〈今度逢えたら 私 頑張ってます お兄ちゃん支えてますって言いたい〉

「お前は頑張っ俺を支えてくれてる 今なら胸を張って逢えるんじゃない?」

(お兄ちゃん・・・)

「リュウヤさん お客さんでーす」

「はい」

(この声 リュウヤさんだ」

「リュウヤさん お久しぶりです」

「おぉ!ミオ 久しぶりー来てくれたんだ」

「当然じゃん ナオも来てるよ」

「えっナオちゃん?」

「お久しぶりです リュウヤさん」

「ナオちゃん!?うわぁ綺麗になって わからなかったよ
 立派な大人のお姉さんになったね」

「そんな事ないです あの私・・」

「リュウヤさーん ちょっとお願いしまーす」

「あっはーい ごめん 俺行かなきゃ 今日もし時間あるなら
 メシ行かない?久しぶりにゆっくり話したいしさ」

「あっごめん。俺奥さん待ってるから帰らないと そうだナオ
 一緒に行ってきたら?」

「えっでも」

「なんだミオ 幸せそうじゃん 羨ましいぞー ナオちゃんどうする
 俺で良ければ 美味しい店案内するよ」

「あっ・・ぜひ!」

「じゃあミオ 俺の番号とアドレス ナオちゃんに教えといてよ」

「了解」

「じゃあナオちゃん 後で連絡するよ」

「はい」

(うわぁリュウヤさんとご飯だって)

「ナオ 顔が喜びに満ち溢れてるぞ」

「そんな事ないし!」

「そーかなー??ハハハッ ナオ良かったじゃん」

「うん」

夢みたいだった 憧れのリュウヤさんとまた逢えるなんて・・・

6年振りに逢った彼は 相変わらず輝いて

あの頃のままの優しい笑顔だった。


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