恋 色 模 様
「わかったー」
そう言って浩哉と一旦別れ、(…といっても隣だけど)私は玄関のドアを開けた。
「ただいまぁ~」
「おかえりなさい…あれ、浩哉くんは?」
キッチンから顔を覗かせた母は首を傾げて私に尋ねた。
「着替えてから来るって」
「そう。なら羽衣も着替えてきなさいな」
「はぁい」
そう言って階段を上り、部屋に入って息をついた。
この家の人間は何かあれば浩哉浩哉。小さい頃はヘンにやきもち妬いてた気もする。
浩哉は小さい頃から何でも出来て優しくて。みんなからは完璧だって言われてた。