恋 色 模 様



賑やかだった朝とは打って変わって静かすぎる教室に私は小さくあくびを溢した。



教室に響くのはチョークの音だけ。周りを見てみると寝てる人のが多かったり。



まだ1限なのに…とまたあくびを溢す私も人のこと言えないけれど。



ふと浩哉を見ると黒板だけを見ている。…先生は見てないけど。



一人だけ真面目なフリして…と妬んでいると目があい、口パクでこう言った。



『真面目にやれよ』


『だって美里のがわかりやすいもん』


『…それは言えてる』



今の授業は内容のわかりにくさワースト1位の葛川先生だ。聞き取りにくい声でもあるため睡魔を誘うワースト1位も持って不名誉な二冠を取ってしまった可哀想な先生でもある。


< 9 / 36 >

この作品をシェア

pagetop