失くした何か
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「――キレハー?ちょっと手伝ってー?」
『何ですか』
かれこれ一か月。
私は、おっとりしている長女のメルさん。
口が悪いが面倒見のいい長男のラルさん。
いつも周りに気を配っている次女のルルさん。
そしてミルさんと老人と生活をしていた。
勿論、私はするつもりなど無かった。
けれど、出て行こうとする度に説教をされ、逃げ出す事が出来なかったのだ。
「あのねぇ……いい加減『敬語を止めろ、ですか。無理ですよ』
“敬語を止めろ”
これは、耳にたこが出来る程言われている事だ。
が、止めるつもりなど皆無だ。
「はあ…。ま、いいわ。とりあえずコレ運んで?」
『分かりました』
私は荷物を受け取り、家の中へと運んでいった。