失くした何か


――――……




「――ハ…キ……ハ…キレハ!!」
『っ……ラ、ルさん』

目を開くと、不安顔のラルさんがいた。



「大丈夫か?」

頷いて辺りを見渡すと、最初に私とミルさんが出会った森だった。
その森も、殆どが燃え尽きていたが。





「……よかった…お前だけでも生きてて」


小さく呟いた言葉は、私に現実を突きつけた。



そう、か。
皆、いなくなって、しまった、んだ。



みん、な……


ふと、ラルさんに頭を撫でられた。



「……泣け泣け。今ぐらいは、な」




――泣、く?


私はラルさんの言葉に動きを止めた。


私は今、泣いて、いる?
この、頬を伝う暖かい水は“涙”?




――何故?

“涙”は悲しい時に出ると言う。
なら、今、私は悲しいのか?

皆がいなくなって……悲しい?





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