失くした何か
『っ!?……夢…か』
私はつくづく運のない奴だな。
昨日も、宿を探そうと町に出れば、道に迷い。
元の道へと戻ろうとすれば、土砂が崩れ落ちて通行が不可になる。
そして、野宿をすれば悪夢を見る。
まるで嫌がらせだな。
まあ、そんな事はどうでもいい。
私の名は“キレハ”
一応、旅人である。
嗚呼、君には分からないだろうから、この世界の事を少し説明しよう。
この世界は【グレアム】と呼ばれている。
そして、この世界の中心には【シ・クェイド城】があり、そこにはグレアムの王、通称【クェイド皇】が存在し、この世界を統一している。
そして私は今、シ・クェイド城には程遠い、木の生い茂る森で野宿をしていた。
『さて……と、どうやら此処もそろそろ出たほうがいいな』
一人呟いて、着ている膝までもが隠れる、黒いコートに着いた砂を払い、フードを目元まで被った。
少ない荷物も片手に持ち、私は旅を再開した。
探し物を見つけるために―――――