桜が舞い散る
「お前らも気付いてただろ?
桜の瞳の闇に…」



「はい。初めて見た時に気付きました。
桜は冷めた瞳で人を殴ってた。
その瞳は黒でしか無かった。
なのにまだ闇に染まり切ってない。
光もありました。」



良く見てんだな小次郎。



「そうだ。
桜の瞳は闇なのにまだ光がある。って事は桜にはまだ感情が残ってんだよ。
だけど桜は笑わない。
笑ってんのに笑ってんねーんだよ。」



「そうですね。
桜ちゃんは自分が笑えてると思ってますけどあの笑顔は偽物。
作られた物です。
その偽物を本物だと思っている。」



そう。桜は偽物を本物と勘違いをしている。



「桜から感情が消えるのはそう遠くないだろうな。」



「そうですね。」



「だからお前らが救ってやってくれ。
俺も出来る限りの力になる。
だけど俺は今は一応桜の担任で高校の教師だ。
あんまり桜と居てやれない。」



「だから僕達に一緒いろ。って事ですか?」



「あ~桜と一緒に居て光を見せてやってくれ。
桜の瞳から闇を消してくれ。
感情を戻してくれ。」



そう言って俺は頭を下げた。






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