『若恋』若恋編
「りお、風呂に入ってこい。で、上がったら違う浴衣着ろ」
「うん」
窓の外を見ながら告げた。
「奏さん、あの…」
「ん?」
戸口で立ち止まりりおが泣きそうな表情で見上げてる。
「奏さん、あの。今日はごめんなさい…せっかくの花火大会を台無しにしちゃった上に、奏さんにケガまでさせて……」
もしも俺たちが来なかったらりおはどうなっていたかわからない。
危険にさらしてしまったのは俺の方だ。
一瞬の隙がりおを見失った。
謝るのは俺の方だ。
「ごめんなさい…」
みるみるうちにりおの目から涙が込み上げてくる。
「―――いや、俺が悪かった」
立ち上がり戸口のところまで歩いてりおの頬を撫でた。
「怖い目に遭わせたな」
「…奏さんのせいじゃないから」
「怖かったろ?」
細い肩に触れたらピクッと身動ぎした。
後遺症は十分に残ってる。襲われかけた精神的ダメージは大きい。