『若恋』若恋編
雨に濡れるふたり
いつからだったろう?
りおがぼんやり考え込んだり寂しそうにしているように見えたのは?
「何でもないよ」
「ちょっと食欲がないだけだよ」
もともと食は細かったと聞いたが、最近は箸が進まないことが多い。
それを誤魔化すようにフルーツを食べている。
元気なくて食欲もない。
「りおさんどうしたんでしょう?元気ありませんね。学校で何かあったんでしょうか?」
学校の送り迎えをしている榊も気づいている。
「学校で何かあるのか探れ」
榊の耳にこっそりと囁く。
学校の中でのことはどうしても耳に入って来にくい。
一階中庭に面したテラスでイスに座りぼんやりと日を浴びてるりおを見ていると半分泣きそうにも見える。
そう。最近は笑い顔が見られない。
「学校一月近くも休んだから授業ついていけてるか?」
学力が心配か?
そう思ったのだがりおに笑われた。
「すぐに追い付いたから大丈夫だよ」