『若恋』若恋編
『作り話はやめろ!』
『ウソじゃねえぜ。なんなら証拠を見せてやる』
バッ
真っ暗闇から、真っ白の何もない空間へ放り投げられた。
いきなりの光が当てられて何も見えなかった。
『見てみろ。おまえの目の前に転がってる女を』
白くボヤけた空間に、無造作に転がってるものがある。
―――まさか
違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。
『目を開けてしっかり見ろよ』
『く、』
―――まさか
ボヤけた空間に一歩足を入れる。
グニャリと床が歪んだ。
『目を背けねぇで見やがれ』
一歩。
足が動かない。
『見えたか?おまえの女の無残に散った花が』
違う。違う。
長い黒髪が床に乱れ流れている。
違う!違う!
この女は別人だ。
俺の花は散ったりしない。
『よく見ろよ。おまえの女だろ』
嘲笑う声―――急激に頭の中が冴えていく。