『若恋』若恋編
「…、……若、おい、若、大丈夫か?ひどく魘されてたが」
魘され、てる?
「どんな夢を見たんだ?」
夢?
今、見たものは夢?
すべて夢?
瞼が開かない。
頭が重く回らない。
吐き気がする。
「う、」
「毅、車を停めろ!」
仁が運転してる毅に声を張り上げて停めさせ、助手席から外へ飛び出した。
横のドアを開けて俺の肩を支える。
「飲み込むな!吐け!」
ぐふっ
吐き出したのは赤いもの。
「なんじゃこりゃ!血じゃねえか!」
「うるせ、騒ぐ、な」
ゴボッ
咳と一緒に吐き出した。
「毅!このまま成田のとこへ行け!若が血を吐いた!」
「たいした、ことねぇ」
「バカヤロ!しゃべるな!」
「騒ぐ、な」
「何言ってやがる!毅、早く成田のとこ行け!!」
頭が重い。
吐き気は続く。腹の中が燃えるように熱い。