『若恋』若恋編
金色の目にりおが怯えた時からか。
侵入者が誰だったのかまだわからない。
「おい、いつから悪かったんだ!」
「うるせ、聞こえ、てる。耳元で、…大声、出すな」
「おい、いつからだ。正直に言いやがれ」
「仁さん、若を動かさないでください」
俺の肩を揺すった仁を毅が真顔で振り返り止めた。
「若、大丈夫ですか?」
「ああ、こうして黙ってれば落ち着く」
ドサッ、不満げな仁が隣にいて背をむけた。
その背を見ると安心する。
「ありがとな」
仁は何も言わなかったがちらとだけ目線がかち合った。
「あと、数分で屋敷に着きます」
屋敷に着くと、榊が飛び出してきてドアを開けた。
「若」
「りおは?りおはどこにいる?」
「りおさんはまだ学校です」
「……俺が迎えに行く」
「若、その格好でですか?」