『若恋』若恋編




学校でのりおの行動は逐一把握している榊が緊急で電話をしてきたのだから、あいつが告白したのは確かだろう。



「榊!仁!いるか!」


ついて来たがる秘書を振り切り、大神物産本社地下駐車場で叫んだ。


「おります」

「叫ばなくても聞こえてるぜ」


ふたりがベンツに寄りかかって待っていた。


「さっきの話しはどういうことだ?」


気が気じゃない。

あいつがりおに告白したなら俺には勝ち目はない。



「今朝登校しみんなの見ている前で堂々と告白したらしいです」

「それは確かか」

「間違いはないと思います。りおさんの同級生が騒いでいたので」

「……で、りおは」


何と答えたのか?

あいつがりおを好きなのは初めて会った時から知っている。
りおがなんてあいつに返事をしたのか?


< 169 / 475 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop