『若恋』若恋編



「りお、下がってろ」

「やだ、退かない」

「遊びじゃねえんだ。退け」


りおには見せたくねぇ。



「榊、後は任せる」

「やだ!」


りおを連れて行こうとして、けれど腕の中から抜け仁を取り押さえている毅の手を払い、背に庇うと両手を広げた。


「りおさん」

「お願い榊さん。わたし何もされてないから!」

「りお」

「お願い奏さん。仁さんわたしのお兄ちゃんなの!」



「………」

「りお、……いいんだ。こうなることはわかってたからよ」

りおの頭を撫でて、仁がりおを押し出して俺の手の中に戻した。


「若、りおを先に連れていってくれ」

「やだ、」

「若の立場を考えろ」


ボロボロと涙を溢して首を振るりおに心臓が針を刺されたように痛む。

「若、りおを連れていけ」

「やだ!お兄ちゃん!」



榊が仁にしがみつこうとするりおを抱き止めた。



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