『若恋』若恋編
「……りおさん、」
「お願い榊さん。」
「若、」
「………」
「若、」
「………」
「若!」
バン!
脇から抜いた銃で仁を撃った。
硝煙があがり、りおが悲鳴を飲み込んだ。
「……仁、おまえはここで俺に撃たれて死んだ。
生まれ変わったおまえにはこれから俺のために命を掛けてもらう」
その一言に、仁と榊が顔を上げた。
前広も毅も、一也も拓也も。
みんな。
「……おまえはりおの盾になれ」
りおを守る盾に。
「それがおまえに与えられた罰だ」
「奏、さん?」
「これから先、一生だ」
「………」
誰もが沈黙した。
りおを拐った事実は消せない。
湾に沈められて当然の罪だ。
「俺以外の男にりおの指一本、髪ひとすじ触れさせるな。一生守り通せ」
「………」
「仁、俺のりおを守れ」