『若恋』若恋編




「仁、命を捨てるばかりが罪を償うんじゃねえぞ。」

生きて俺の傍にいるのが、償うこと。
二度と裏切らない。
そして、勝手に死ぬことは許さない。



「仁、りおを見ろ」

仁が榊に抱き止められたりおを見る。


「おまえが命を捨てるのをりおが嫌う」

「………」

「大事な妹なんだろ?おまえが守ってやらねえでどうすんだよ」

「………」


榊が動きを止めたりおを離すと、りおが泣きながら抱きついた。


「奏、さん」

「……りお、すまなかったな」


その細く華奢な体を抱き締める。

ううん。ごめんなさい。
そう震える肩が告げた。



「おまえは悪くない」







< 214 / 475 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop