『若恋』若恋編
「仁、命を捨てるばかりが罪を償うんじゃねえぞ。」
生きて俺の傍にいるのが、償うこと。
二度と裏切らない。
そして、勝手に死ぬことは許さない。
「仁、りおを見ろ」
仁が榊に抱き止められたりおを見る。
「おまえが命を捨てるのをりおが嫌う」
「………」
「大事な妹なんだろ?おまえが守ってやらねえでどうすんだよ」
「………」
榊が動きを止めたりおを離すと、りおが泣きながら抱きついた。
「奏、さん」
「……りお、すまなかったな」
その細く華奢な体を抱き締める。
ううん。ごめんなさい。
そう震える肩が告げた。
「おまえは悪くない」