『若恋』若恋編
「りおっ!?」
この場にいるはずのないりおと榊。
目の前にはふたり。
いや、ふたりに両脇を抱えられ項垂れた丸井の姿があった。
りおの足元にシミが落ち絨毯に染みた。
―――血!?
「……わたしじゃないの」
りおの服が血で染まっていく。
「大神さま、…このまま…ここをでますよ…」
抱えられた丸井から熱く荒い息が漏れ、唇の端から血が滲んでいた。
りおと榊を見ると頷いた。
どこを射たれたのか出血が多い。
榊が難しい顔で俺を見て目で背中だと告げた。
「若、グズグズしてはいられません。すぐここを出ます!!」
小刻みに震えているりおから丸井の体を抱き取り、広い廊下を榊と支えながら走り出す。
「りお、離れるなよ!」
榊と正面につけてあると聞いた車まで全力で走りだす。
「逃がすな!!」
「撃て!!」
「殺せ!ボスが殺られた!!」
.