『若恋』若恋編
追ってくる龍神会。
仁、前広らが車を囲むようにして背後を援護する。
「りお、乗れ!!」
叫ぶと、仁に守られたりおが車に押し込められて急発進で去った。
「毅!!」
毅が盾となりドアを開けた耳元を掠めて弾が飛ぶ。
「若、早く!!」
「急げ!!」
「引き揚げるぞ!!」
殿は追っ手を止めろ!
刃向かうなら容赦すんな!
一也が声を張り上げる中、榊と丸井を後部座席へ押し込んだ。
びしっ、
風が腕を掠めた。
「若!!!」
「いい!出せ!!」
構わず命じて急発進する。
「丸井!!」
「……お嬢さんは先に送らせてます。…無事に、」
「ああ。わかってる」
丸井はやると言ったらやってくれる男だ。
次の瞬間には、
「ぐっ」
咳き込んだと思ったら血を吐き出した。
背中が脈打ち、支えた体からどす黒い血が吹き出した。