『若恋』若恋編
「若、成田が間に合わねえ!!」
「なに?」
「移動中だっ!」
頼みの成田が間に合わない。
「若、このまま車止めまで行きます!!」
毅が叫び敷地内に猛スピードで突っ込んだ。
車止めには仁の車に乗せたりおが到着して泣き顔で待っていた。
ドアを開け震える手で俺に触れた。
「そ、奏さん……」
「りお」
目尻から涙が溢れたりおの頬の涙を拭う。
「……丸眼鏡さん」
「……りおさんは立派、でしたよ……大神さまを、自分の……命掛けて救い出しました」
「違う、丸眼鏡さんがいてくれたから」
りおの白い手が丸井の血まみれの手を握りしめた。
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