『若恋』若恋編



「……そう、さん」


りおが泣きながら丸井の手を両手に握りしめる。


丸井が最期に深く深く息をして、身体中の空気を吐き出して静かになったのを俺は一生忘れない。

目の前で為す術もなく命が散っていくことだってあるんだって心に刻む。



「丸井…ありがとう」



シン

りおが泣き、誰もが声をなくしていた。

俺を、りおの妹を助けだせたのは丸井がいてくれたからだ。
丸井がいなかったらきっと助け出せなかった。



すまない。

ありがとう。

何度礼を言っても足りない。


りおが握っていた手を丸井の胸の上に静かに置いた。




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